主に子育ては、レズビアンカップルが問題になると考えられます。日本では、レズビアンカップルが親権紛争をした例というのは、報告されていません。しかし、男性と婚姻をしていた際の離婚の際に、親権に関して、レズビアンという性的傾向が指摘される例があります。個人的には、子の福祉の観点からは、その年齢・発達に応じて「子の最善の利益」は決められ幼少期の場合は母親による監護が適当と考えられる場合もあるかもしれないですし、かえって性別が男の子だとすれば、その情緒的発達を不利益にする可能性もあるかもしれません。
一般的には、男女の人工授精のケースとレズビアンカップルの子育てを比較した研究では、有意な差は認められなかったとの報告が複数出されています。しかし、男女のカップルでも日本では養子縁組はあまり一般的とはいえません。海外とは事情が異なるのです。ですから、日本では子連れでパートナーになるケースが主要な例になるものと考えられます。
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養子縁組は、その名のとおり親子になることをいいます。もっとも、社会的実態としては、相続税対策として孫が息子として養子縁組をされるなど、社会的実態としての養子縁組のみに限られていないのが実情といえるかもしれません。
もっとも、偽装結婚という言葉があるように、偽装養子縁組というものもあります。ですから、容易に養子縁組ができると考えるべきではなく、養子縁組をするだけの緊密な関係があるのか否か、親子関係と評価して差し支えないのか、といった点が問題になる可能性があります。この点の判例は、縁組意思がないという理由で養子縁組が無効になったケースはあまり見当たりません。大判明治39年11月27日が兵役を逃れるための方便としての養子を無効としたもの、大判大正11年9月2日が芸者を拘束する目的でなされた養子については無効、岡山地裁昭和35年3月7日には学区制を逃れるための養子については無効とした例がみられる程度です。
一般的には、相続のみを目的とする養子は有効と解されていますが、最高裁昭和38年12月20日は、これに加えて親子としての精神的なつながりをつくる意思を求めています。
大判大正11年9月2日との間で両者には自由な意思が求められるということに加えて、最高裁昭和46年10月22日は、情交関係にある相手方を自分の養子とする場合は、長年にわたって同居し家業を手伝ってくれたことに対する謝意を込めて自分の財産を相続させる意思で姪を養子にしたケースでは、過去に一時的な情交関係があっても縁組の成立は妨げられないと考えられています。
パートナーになる気持ちがあるだけでは、養子縁組は無効とされてしまう恐れがあります。例えば、東京地裁平成16年11月11日は、
―などの事実関係の下でも、「被告とAとの間には、ある程度親しい関係があったものとうかがわれるが、それが親子関係を結ぶに相当するほどのものであったか否かは明らかでない」として、養子縁組を無効と結論付けています。
もっとも、最高裁は、既に述べたように緩やかに考えているとも考えらえれ、最判昭和38年12月20日を少しみてみることにしましょう。この判決は、男性同士の養子について、推定相続人からの親子関係を創る気持ちはなかったとの上告理由に対して、「本件養子縁組において、久と被上告人らとの間に親子としての精神的なつながりをつくる意思を認めることができ、したがって、本件養子縁組が久の遺産に対する上告人の相続分を排して孫の被上告人らにこれを取得せしめる意思が久にあると同時に、久と被上告人らとの間
夫婦になる意思、パートナーになる意思、養子縁組の意思は法的には異なりますが、それぞれが多様化する今日、法的に明晰に区別することが困難になってきているのもまた事実であるといえるかもしれません。養子縁組無効確認訴訟を検討すると、多くが相続の関係で生じていますから遺言などで対処する予防法務の見地が重要であると考えられます。
現時点で、裁判例を見渡しても、性的マイノリティの養子縁組の有効性について判断した例はなく、予防法務から別のリスク対策も講じておく必要もあるのではないか、と考えられます。
もっとも、区役所レベルでの窓口対応では、戸籍官吏には、形式的書類審査権しかありません。したがって、役所の手続については、後々無効とされる例はあるかもしれませんが、縁組届を提出して戸籍に養子関係を記載する手続をすることができます。ただし、そこには法的リスクなどもともなうかもしれません。
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