パートナーシップ契約

同性間パートナーシップの現状

同性間におけるパートナーシップは、長い間承認されないでいましたが、今、光の刺す方へ向かいつつあるようです。アメリカ連邦最高裁のソドミー法違憲判決に続き、同性婚を認めないことが法の下を定めた平等原則に違反するとした違憲判決など、社会的にそのパートナーシップの意義や個人の尊重することに対する意識は深まっているように思います。同性婚を承認した賛成意見では、同性パートナーシップについて「たとえ死が二人を割くことがあっても割れても末に逢いたいと思う意思が同性婚にもある。彼らは、結婚を侮蔑しているのではなく結婚を尊重しようと思うからこそ同じように尊重されていることを求めている」と指摘されています。

パートナーシップにおけるトラブル

同性パートナーシップの場合、相手方のことをよく知らなくてトラブルになることがあります。例えば、本名を知らない、相手方の実家の情報を知らない、親族と折り合いが悪いという例があります。
しかし、親族と折り合いが悪い場合でも、事故、危篤、死亡など意識がないときにパートナーから相手方親族に連絡をとらざるを得ないということも多いといわれます。アメリカ連邦最高裁も、「州によって手術に同意できたりできなくなることは旅行の楽しみを奪うものだ」との指摘もされています。

年代別トラブル

20代の場合は、こどもがいないので可処分所得が多く遊興からトラブルが生じることが多いようです。30代、40代は、仕事が多忙を極めるときで、独立開業する人もいるかもしれません。また、住宅の購入を決断する時期で、名義、賃貸の保証人、緊急連絡先、相続、保険、親の介護の問題、自身の健康、貞操に対する意識の違いなども問題にあがります。
こうした問題から30代、40代は、20代のころと比較してパートナーに求めるニーズが変わってきます。つまり、ふたりの人生の方向性が異なりパートナーシップを解消、いわば離婚するなどの問題が出てくることもあります。また、50代、60代は、老後の資金計画や介護計画も必要になりますし、入院や療養にも備えておく必要があります。また、相続が生じた場合、パートナーには法定相続権はありませんので、のこされたパートナーの生活も一緒に考えておく必要があるのです。

パートナーシップ関連の契約書・契約制度

  • 公正証書

    契約書は、公正証書にしておくことが多いといわれます。しかし、公証人は、検察官と裁判官の天下り先で、弁護士としてやっていく能力がない人が任命を希望しますので保守的な人もいます。中には、公序良俗に反するので嘱託を受けることはできないと断られた方もいるようです。
    公正証書の作成は、あまり公証人と作成の相談をして作成することは一般的ではないため、同性パートナーシップに関してはある程度前向きな理解がある法律家があらかじめコンサルティングをして証書の内容を公証人と調整し、公正証書を作成することが良いと思います。公正証書で脱落しているものが見つかった場合はもう一度公正証書を作成する必要があります。また、家庭裁判所の家事事件手続代理人となり生きた法律知識を持っているのは弁護士のみです。司法書士、行政書士、カウンセラーの起案した契約書をみることがありますが、料理本をみて作った料理を食べているようなイメージを持ちました。弁護士以外は本からしか知識を得られないということも弁護士にコンサルティングをしてもらうメリットになります。

  • 婚姻契約書・養子縁組

    20代、30代の場合は同性婚でのパートナーシップ契約がすすめられます。婚姻契約書と考えてもらえば良いと思います。日本では、同性婚は、「無視」されている状況にあります。このため何となく同棲を続けてしまう、ということがあると思います。そこで、婚姻契約書を作成することで、パートナー共同生活のルールをことばにすることで、その想いを再確認することもできると思います。この同性パートナーシップ契約書は、夫婦だけに意味があるものかもしれませんが、こうしたものがきちんと作成されているということで、住居上の問題、病院上の問題などに事実上の前向きな影響を与えてくれることがあるでしょう。

    50代以降になると養子縁組を利用することも考えてみるとよいかもしれません。つまり、ある一定の年齢を超えると、性交渉をしなくなったり、性的類似行為のみにとどまったりすることが増えてくると思います。そうすると、きょうだいになる感覚を持てれば養子縁組をしてしまうことも法的には問題ないといえるでしょう。養子縁組をした場合は、一方は他方のこどもということになりますから、法的な問題点をクリアすることができますが、性交渉が多く伴っている時期は公序良俗に反して無効とされてしまうことも多く、場合によっては公正証書原本不実記載罪に問われる可能性もありますしセンシティブな問題でもありますから、弁護士のコンサルティングを受けながら提出を検討することが良いと考えられます。

  • 任意後見契約

    パートナーシップ契約の際に併せて作成するのが、代理権付与契約と任意後見契約です。
    「後見制度」というのは、みなさんも聞いたことがあると思いますが、従来は緊急事態が生じてからしか、法律の枠組みで後見制度を利用することしかできませんでした。
    ところが、任意後見という制度が始まりました。これは、法定後見(いわゆる禁治産制度)が既製品というならば、任意後見は、自分が元気なうちに自分が後見人になって欲しいと思う人と契約をします。法定後見の実情として申立人は多くが後見人に選任されていないという家庭裁判所の運用があるようです。つまり親族の場合は別ですが、裁判所からも「無視」されてしまうパートナーの場合は、希望する後見人をあらかじめ指定して、その範囲を自分で決めておくことがパートナーに対する想いの結実として望ましいといえます。
    私は、以前の法律事務所で多くの任意後見に関する公正証書を作成してきました。こうしたインフォームド・コンセントを受けながら、しかも自分の望む形にできる任意後見契約は、同性パートナーにとって最適なアイテムといえると思います。
    ただ、任意後見契約は基本的に認知症であるとか意識障害になってしまった場合に、代わりに判断をするというのが後見人のお仕事です。ですから、契約をしただけでは契約は有効ではないので、その間は弁護士代理人がパートナーの代理人として機能して、判断能力が低下しなくても、生活に支障が出ないように任意の代理権付与契約で、制度と制度の落とし穴を埋めてリレーしていきます。任意後見契約で後見人に指名されている同性パートナーは、同性パートナーシップ契約書、任意後見人が就くまでは弁護士代理人が同種の事項について代理権を持つとの契約書を持っていれば、病院、親族なども、パートナーに、家族としての立場を事実上認めてくれるかもしれません。何事もカタチにしておくことが大事なことといえます。

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